蛭川研究室 断片的覚書

私的なメモです。学術的なコンテンツは資料集に移動させます。

脂質代謝と脳(2)

(「脂質代謝と脳」の続き。)


ブライトライトMEによる光療法

光を浴びると、動物の体内では神経伝達物質であるセロトニンが分泌される。植物の体内ではインドール酢酸などの成長ホルモンが輸送タンパク質によって光の当たる方向とは反対側に運ばれ、細胞分裂が促進され、葉が光の方向を向く。屈光性である。同じトリプトファンに由来するインドールアルカロイドが、動物の体内と植物の体内で、似ているようで違うはたらきをしている。

メチルフェニデートドーパミントランスポーターを阻害し、シナプス間隙におけるドーパミン濃度を増加させるという。その結果、交感神経が優位になるので、過眠だけではなく、過食にも効果がある。セロトニン再取り込みを阻害するSSRIににも食欲を抑制する作用があるが、副作用で悪心が出てしまう。セロトニン系ではなくドーパミン系からアプローチしていく方法が、なぜかうまく行っている。

いまの主治医は反実在論者なので、診断名を確定させることよりも、薬が効けば良いという立場である。なるほどコンサータメチルフェニデート徐放剤)を服用するようになって2ヶ月、狂ったようにチョコレートを食べてしまったりと、そんなことは、すっかりしなくなった。

最悪だったころには体重が79kg、体脂肪率が28%を超えていたが、記録がはっきりしない。たしか「体年齢」は56歳だった。


2018年3月17日の計測値

3月に体重計を買ってきたときには、もうだいぶ良くなってきていたが、体重計を買ってスマホにつなげたこと自体が、ある種の行動療法になっている。



2018年5月2日の計測値

体脂肪率は22.0%以下、骨格筋率は32.9%以上、内臓脂肪レベルは9以下、血圧は130/85mmHg以下が正常値の目安だというから、コレステロール中性脂肪という観点からすると、治療は奏効している。

弱った筋肉を鍛え直して、調査に出かけたい、というのは、まだまだ今後の課題ではある。体年齢というのはオムロン体組成計独自の指標らしいが、計算の根拠は明らかにされていない。ともあれ、時間が五年も十年も逆戻りしてしまったような、不思議な感覚である。

ダイエット日記ブログの類いはネット空間上に溢れている。じっさいに読んでいるのは、あんがい書いている本人だけなのかもしれないが。

医者も看護師も忙しい。意外に話し相手になってくれるのが、検査室に出入りしている検査技師さんである。暇のある時間に、スマホのアプリの使い方なども教えてもらっている。

患者「アプリの使い方を教えていただきたいのは・・・」
検査技師「つまりモチベーション、ということですよね」
患者「そうなんですね。スマホの画面を見てゲームみたいにでもしなきゃ、やってられませんよ。それに、こうやって数字が出てくること自体が面白いですし」
検査技師「そうですよね。よく廊下をうろうろしてますから、見かけたら、いつでも声かけてくださいよ」

健康は幸福な生活のための手段であって目的ではない。しかし生命現象を数値化、可視化するプロセスは、それ自体が面白いし、役に立つ。そして検査技師という人は、それを職業にしている。プロフェッショナルの、ガジェット・ギークでもある。
 



記述の自己評価 ★★☆☆☆
2018/04/29 JST 作成
2018/05/02 JST 最終更新
蛭川立