蛭川研究室 断片的覚書

私的なメモです。学術的なコンテンツは資料集に移動させます。

精神医学・臨床心理学

セレンディピティとルネサンス

この記事には医療・医学に関する記述が数多く含まれていますが、個人の感想も含まれており、その正確性は保証されていません[*1]。 近年の脳神経科学の急速な進歩にもかかわらず、精神疾患の治療薬の開発は1950年代から1970年代にかけて盛んに行われた一方、…

サイケデリックスと他の精神科治療薬との相互作用

この記事には医療・医学に関する記述が数多く含まれていますが、個人の感想も含まれており、その正確性は保証されていません[*1]。 サイケデリックスは抗うつ薬としての効果が認められつつあるが、他の抗うつ薬や気分安定薬との相互作用についてはまだよく知…

躁鬱病圏の精神病理学と生物学的精神医学

この記事には医療・医学に関する記述が数多く含まれていますが、個人の感想も含まれており、その正確性は保証されていません[*1]。 この冬は、冬眠病のような休眠状態にあったが、身体の運動のほうの制止が強いのは相変わらずで、その代わりに、日本語なら難…

医療化

睡眠は病か 睡眠は病か 冬になると眠くなることを「冬眠病」と書いてきたが、「冬眠」を「病」とするかどうかは、「医療化(medicalization)」の問題である。 冬眠はツキノワグマの社会ではマジョリティだが、中緯度に住むヒトの社会ではマイノリティである…

『魂の形について』

博識な才女、多田智満子のエッセイ『魂の形について』。 魂の形について (ちくま学芸文庫)作者:多田 智満子筑摩書房Amazon 古代ギリシア語のプシュケーは、吐息と共に吐き出される魂のことであり、また蝶によって象徴されるともいう。 www.youtube.com エス…

てんかんと片頭痛による知覚・認知の変容

この記事には医療・医学に関する記述が数多く含まれていますが、個人の感想も含まれており、その正確性は保証されていません[*1]。 子どものころから、片頭痛やてんかんに似たような体験がよくあった。 部位によるてんかんの諸症状[*2] 片頭痛の前には閃輝暗…

大麻とカンナビノイドのことなど 研究ノート 2023/06/21

大麻といえば覚醒剤と並んで(というよりは混同されて)怖い違法薬物の代名詞になってしまっている。 私はもともとサイケデリックスを含む薬草の文化について研究してきたのだが、だから大麻、つまりアサも北インドで儀礼的に使用される薬草だという認識が先…

サイケデリック・ルネサンス

セレンディピティ ー『LSD』との出会いー LSIとLSD 理系の神秘主義 深い遊び サイケデリック体験と無意識 神経化学の用語 【余談】精神活性物質の社会的階層 セレンディピティ ー『LSD』との出会いー LSIとLSD ティーンエイジャーのころに音楽などを通じてド…

『琥珀の夢』

抗うつ薬としてのアヤワスカ 『琥珀の夢』 抗うつ薬としてのアヤワスカ 京都のアヤワスカ裁判で弁護士さんから依頼があり、南米の精神展開性薬草儀礼の「専門家」として「治療抵抗性うつ病に対する精神展開性アヤワスカの迅速な抗うつ作用:無作為化プラセボ…

覚書(2021/05/14)

hirukawa-notes.hatenablog.jp 承前。 Zeitgeber Zeitgeber 眠いようで眠れず、睡眠導入剤を服用して寝たのが2時ごろ。6時に自然に目覚めたが、なかなか起き上がれず、枕元のモダフィニルを100mg服用して、やっと9時に起き上がれ、そして午前中はリモート授…

覚書(2021/05/13)

hirukawa.hatenablog.jp 承前。 ピノリン 心理学と統計学 ピノリン 睡眠について考えを深めて眠れないという逆説。瞑想をするとリラックスするが、きちんと瞑想をすると「インドール的」に覚醒してしまうので、むしろ眠りからは遠ざかる。 ピノリンとメラト…

ケタミンとDMT

タンポポ 国立精神・神経医療研究センター病院 イギリスで、うつ病に対するケタミン治療が始まったという。 https://www.oxfordhealth.nhs.uk/service_description/ketamine-clinic-for-depression/www.oxfordhealth.nhs.uk旅行ビザで滞在していてもNHS(国…

日本のメランコリー文化と抗うつ薬

この記事には医療・医学に関する記述が数多く含まれていますが、個人の感想も含まれており、その正確性は保証されていません[*1]。 マニアとメランコリア 日本における抗うつ薬の受容 SSRIからサイケデリックスへ 館内放送が流れる。作業療法室で映画上映会…

睡眠相後退症候群

睡眠と覚醒のサイクルが24時間以上になると、睡眠時間が後ろにずれていく。それでも同じ時間に起きようとすると、睡眠時間が短くなり、心身に不調をきたしやすくなる。 2017年4月の睡眠日誌 睡眠と覚醒のサイクルが約24時間10分になっており、1ヶ月で約300分…