蛭川研究室 断片的覚書

私的なメモです。学術的なコンテンツは資料集に移動させます。

作られた伝統から最初の楽園へ

ブラジルとペルー

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南米の薬草文化の現代化、とくにペルーにおけるアヤワスカ・ツーリズムについて論じたが、観光化による伝統文化の発展については、インドネシアのバリ島が先例として挙げられる。

レヴィ=ストロースを読むと、南米の先住民文化が神話的思考によって構造化されているかのように考えてしまうが、ことアヤワスカの茶会については、シピボのクランデロはあまり説明や解釈をしない。イカロには精霊の世界が歌われるが、それだけである。これはブラジルのアヤワスケイロの儀礼にも受け継がれている。サント・ダイミのトラバーリョに参加しても、聖歌は歌いつづけるが、体系だった教義は語られない。
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レヴィ=ストロースと1930年代のブラジルについては別の場所でも重複することを書いた。

レヴィ=ストロース構造主義は、オランダ構造人類学の影響を受けている。

オランダ構造人類学は、オランダ領東インド、つまりインドネシアの文化からつくられたものである。とりわけジャワ文化の影響が強い。もっともジャワ島以西の島々はイスラーム化によって文化が整備されたのに対して、ジャワ文化の構造をよく伝えているのはバリ島である。彼らの儀礼は入念であって、それはアマゾンの先住民のそれよりもずっと繊細である。
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これは、北インドイスラーム化された後の、タントラ的な象徴世界を引き継いだのがネワール人だというのとも並行している。

バリ島

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バリ文化については拙著の原稿に写真や動画を加えたものをアップしたが、だいぶ長くなったので、個々の記事に切り離したい。

1930年代のオランダ統治下における文芸復興については、まずベイトソンの著作のリストをまとめた。

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それから、現代バリ絵画の発展をたすけた白人、シュピースについて、日本語で読める書籍。

敬語の文化

バリの文化については、日本語で直接書かれた文献も多い。ヨーロッパ語を介さずに敬語表現ーつまりは社会的状況ーを理解するのに役立つ。年齢、性別、地位の相対的関係における言語や非言語的行為の使い分けは、しばしば漢民族の、いわゆる儒教道徳と結びつけられるが、中国語には細かい敬語表現はなく、朝鮮・韓国語や日本語に顕著である。さらに、ジャワ語・バリ語や、その他メラネシアからポリネシアにかけての文化においても敬語は発達しており、西太平洋のオーストロネシア語圏の文化だともいえる。

朝鮮、日本は漢語が、ジャワ・バリではサンスクリット語が外来の優れた文化をあらわす語として、硬い、丁寧な表現として用いられる。ジャワ語・バリ語では、matahariとsuryaのように敬語の中でサンスクリット語への言い換えがあるが、日本語の場合には漢語への置き換えは少ない。日本語における「太陽」と「ヒ(日)」の違いには、敬語としての意味の違いはない。

英語版wikipediaの「honorific(敬語)」
en.wikipedia.org
には、異文化としての敬語が論じられている。西太平洋から東アジアにかけての地域とは別に、中米のナワトル語の複雑な言語体系にも触れられている。



記述の自己評価 ★★★☆☆
(つねに加筆修正中であり未完成の記事です。しかし、記事の後に追記したり、一部を切り取って別の記事にしたり、その結果内容が重複したり、遺伝情報のように動的に変動しつづけるのがハイパーテキストの特徴であり特長だとも考えています。)

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  • CE2023/02/25 JST 作成
  • CE2023/02/25 JST 最終更新

蛭川立