蛭川研究室 断片的覚書

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MDMA裁判のことなど 研究ノート 2023/06/20

弁護士会館(東京・霞ヶ関

薄井真由子裁判長はすこし可愛らしい感じの四十歳ぐらいの女性で、両脇に中年男性二人を従わせていた。

判決での物質名は「3、4、メチレンジオキシ、N、メチル、α、メチル、2、フェネチルアミン、別名、MDMA」と、たどたどしく読み上げられたが、これは無理もない。英訳が続いた。

IUPAC命名法を使わずに、メタンフェタミン(いわゆる覚醒剤)というよりは、フェネチルアミン(いわゆる恋愛ホルモン)という言葉が使われたことには、好感が持てた。

また芸能人を面白おかしく見せしめにするような事件が起こったのかと思いきや、MDMA療法のことも争われていたので、これは京都でのアヤワスカアナログ裁判とも似ている。

そこには、セクシュアリティ、身体、快楽、生権力、狂気、逸脱、治療、処罰、監獄など、まさにフーコーの思想が解き明かそうとしたことが現出しているとも思う。

hirukawa.hateblo.jp

MDMAはうつ病PTSDの治療のために処方されていたとのことだが、二つはだいぶ異なる疾患である。

一般にサイケデリックスはハイドーズで神秘体験を起こし、その結果としてうつ病が治癒し、何か月も維持される。しかしMDMAでは自我融解を引き起こすほどの神秘体験は起こらないので、服用中に高揚感が得られたとしても、その後で、反動で抑うつや不安が起こってしまうことがある。

MDMAの密輸というが、MDMAはアメリカよりもヨーロッパで多く作られているらしい。

www.aboc.co.jp

合成麻薬というが、石油よりはむしろ、東南アジアの樹木から中国でサフロールが抽出され、それがオランダなどで加工されてMDMAになり、それが世界各地に広まっているのだという。

https://i.dailymail.co.uk/1s/2019/10/25/14/20180310-7613301-MDMA_was_found_to_be_most_popular_in_the_Dutch_cities_of_Eindhov-a-34_1572009809451.jpg Map reveals 'Europe's favourite DRUGS' | Daily Mail Online

ヨーロッパでは、MDMAはオランダ(とくに南部のベルギー国境地帯)、メタンフェタミン覚醒剤)はチェコが生産の拠点であるらしい。

サフロール等が輸出されるルート MDMAが輸出されるルート サフロールの原料となっているのは、もっぱらクスノキだという。 クスノキの原産地 https://www.foresthistory.org.au/2010_conference_papers/Stubbs%20Paper.pdf

クスノキCamphora officinarum)は東アジアの照葉樹林帯に特徴的な種であり、日本では文化的なシンボルだが、サフロールの原料としては、カンボジアなど東南アジアで伐採されているという。


記述の自己評価 ★★★☆☆ (つねに加筆修正中であり未完成の記事です。しかし、記事の後に追記したり、一部を切り取って別の記事にしたり、その結果内容が重複したり、遺伝情報のように動的に変動しつづけるのがハイパーテキストの特徴であり特長だとも考えています。)


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CE2023/06/19 JST 作成
CE2023/06/26 JST 最終更新
蛭川立