フロイトの著作の和訳は
という順に整理されてきている。岩波の全集は、Fischer出版のドイツ語版全集『Gesammelten Werke』からの和訳であり、テーマ別ではなく、時系列順に著作が並べられている。
2002年に発刊された『精神分析事典』には(初期の研究を除く)フロイトの著作リストがあり、『フロイト著作集』と『フロイド選集』への翻訳との対応表になっている。
初期の論文
Fischer出版の全集はテーマ別ではなく発表された時系列順になっており、第一巻は1892〜1899年の著作である。フロイトはこの時期にヤツメウナギなどの動物の神経系、コカインの薬理作用についての論文も発表していたが(抑圧されて忘却されているのか)それらは収録されていない。
Fisher出版からは『Werke im Taschenbuch』という文庫版の著作集も出版されているが、こちらはテーマ別に編纂されている。コカイン研究については『Schriften über Kokain』に六編の論文がまとめられている。代表作である「Über Coca」は、マックス・プランク科学史研究所のサイトで公開されている[*1]。また、『イマーゴ』の1990年7月号に「コカについて」という抄訳が掲載されている。
書簡
私信を公開することの是非はさておき、岩波書店の『フロイト全集』には、年次別にいくつかの書簡が収録されているが、テーマ別に編纂されている人文書院の『フロイト著作集』は、第八巻が書簡集になっている。
その他、ユングとの往復書簡は『フロイト=ユング往復書簡』(『フロイト=ユンク往復書簡』として文庫化)、アインシュタインとの往復書簡は『ひとはなぜ戦争をするのか』という邦題で出版されている。山本コウタロー『フロイトのラブレター』は、恋人マルタ・ベルナイスとのやりとりを底本としている。
(なお、ユングの著作和訳リストは、南山大学の渡辺学先生のサイト
http://www.ic.nanzan-u.ac.jp/~mwanatab/links/jungbib-a.htm
にアップされていたが、現在、アクセスができないようである。)