お釈迦さまの教えを一言でいうと、縁起なんです。お釈迦さまは天地創造の神を作らない。全部関わり合うという縁起の教え。その縁起は人と人ばかりじゃない。まずは地球と太陽を結ぶ一億五千万キロ、この引力のバランスを保っているからですわな。近すぎても遠すぎても命はない。更に、太陽系惑星相互の引力のバランスを保っている背景は銀河系惑星群とのバランスだそうです。ということはですよ?私がいまこうして喋ることができる背景に、自覚するしないに関わらず、銀河系の果てまでもの働きを頂いているわけです。その働きを仏性と呼ぶんですなー
青山俊董[*1]
映画『典座 TENZO』[*2]の中で、インタビューに答える青山俊董老師の台詞より抜粋。
地球がハビタブルゾーンを四十億年も回り続けているというファイン・チューニング(fine tuning; 微調整)を、創造論によらず説明するのが人間原理であるが、その背景には西洋の神学論争がある。その外部にあって禅仏教の僧侶が仏教思想を創造論に対置させているのが興味深い。ただしここでは縁起や仏性という概念への言及があるから、これはより「強い」人間原理と親和性のある議論だともいえよう。
2019/10/17 JST 作成
蛭川立
*1:空族 (2019).『典座 TENZO』(映画のパンプレット), 8.