英語で「japan」と呼ばれる漆器は縄文時代晩期の亀ヶ岡文化まで遡る。
色彩からすると、クロとアカの2色[*2]が使われるのは縄文土器の時代から連続しているが、デザインからすると後の時代のアイヌ文様との連続性もうかがえる。
北九州の装飾古墳では、「クロ/シロ/アカ」に続く、4色目の「アオ」を見ることができる。この「アオ」は、現在の青信号と同様、青から緑へのスペクトルを含んでいる。
日本でも他地域の古墳とは違って、原色を主とした鮮やかな色づかいが特徴的である。出入り口を閉じてしまえば[死者以外は]誰も見ることのできない暗黒の空間に、このような壁画が描かれている。別の装飾古墳では、死者の魂を乗せて旅立つかのような船の絵もみることができる。
記述の自己評価 ★★☆☆☆
(ちょっとした写真と覚書。北九州の装飾古墳を現地調査したときのことも加筆したい。)
2019/05/08 JST 作成
2019/07/26 JST 最終更新
蛭川立
*1:青森県つがる市・木造亀ヶ岡考古資料室(2003年撮影)。C14法による年代測定では、縄文時代の終わりは3000BP(BC1000)に遡るとされる。
*2:バーリンとケイは日本語の色彩語を11個としているが、順序からすれば、まずシロとクロが分化した後、アカが分化し、その後でアオが分化したと考えられる。(バーリン, O. B., ケイ, P. 日高杏子(訳)(2016).『基本の色彩語―普遍性と進化について―』法政大学出版局 (Berlin, O. B. & Kay, P. (1969). Basic Color Terms: Their Universality and Evolution. University of California Press.), 153-154, 167.) 基本の色彩語: 普遍性と進化について (叢書・ウニベルシタス)