蛭川研究室 断片的覚書

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覚書(2021/05/14)

hirukawa-notes.hatenablog.jp
承前。

Zeitgeber

眠いようで眠れず、睡眠導入剤を服用して寝たのが2時ごろ。6時に自然に目覚めたが、なかなか起き上がれず、枕元のモダフィニルを100mg服用して、やっと9時に起き上がれ、そして午前中はリモート授業、午後はリモート会議。

同調因子なしで生活してみたら、生活の日周リズムはどうなるだろうか、4週間、やってみよう、と主治医と話してから3週間。

学生時代にはZeitgeberをそのままカタカナ読みして、ツァイトゲーバーと言っていた。文字どおりに訳せば「時間を与えるもの」である。

ツァイトゲーバーには光のような物理的な刺激もあるし、他個体との社会的な相互作用の要素もある。ライオンの性周期はメス同士のフェロモンによって同調すると言うが、ヒトでも女子寮で月経周期が同調するという。また月経周期は男性の汗に含まれるフェロモンによっても調整される[*1]

毎朝決まった時間に決まった光量の光を浴びる、高照度光療法を続けてきたが、あまり効果がない。メラトニンも、より強力なラメルテオンも試したが、あまり効き目がなかった。松果体で光を受け取る部分に問題があるのかもしれない。

GeneLifeでCLOCK遺伝子も調べてみたが、意外に「朝型」の変異だった。もっとも、1個の遺伝子で説明できることは少ない[*2]

排卵周期を月経周期ともいうが、じつは月の光とは関係がない。ツァイトゲーバーは、むしろ社会的な関係によって与えられる。

ふだんは夜型生活なのだが、出家したときと入院したときには、すぐに朝型生活に適応した。ヒトにもサーカディアンリズムを同調させるフェロモンがあるのかもしれないし、ラメルテオンよりも良い薬ができるかもしれない。

来週の講義(→「プラセボ効果と象徴的効果」)の準備をしながら、朝食抜きの子どもと非行に走る子どもの割合に相関が見られるからといって、相関関係から因果関係に飛びついてはいけない、という、菊池誠さんの本に書かれていたことを思いだした。

そのことを考えて調べているうちに、光だけではなく食事もツァイトゲーバーになることを実験的に確かめられるという論文を見つけた[*3]

食べ物を食べると眠くなるものだと思っていたが、適切な朝食は目覚めを促進するのかもしれない。



本日の服薬。ゾルピデム15mg、エスゾピクロン3mg、フルニトラゼパム1.0mg、モダフィニル150mg、ラモトリギン200mg、以下略。自分以外の誰も関心がないであろう数字の列だが、薬の量と種類が増えている。もうすこし減らさなければならない。

CE2021/05/14 JST 作成
CE2020/05/14 JST 最終更新
蛭川立

*1:いずれもNatureに乗っていたような記憶が。白須未香 (2005). 生理作用のあるにおい物質とその受容メカニズム におい・かおり環境学会誌, 36(3), 138-140.(孫引き)

*2:三島和夫による研究論文は別のところで引用したが思いだせない。

*3:大池秀明 (2008). 培養細胞を用いたサーカディアンリズム調節機能の評価 平成 20 年度農林水産省補助事業(食品産業クラスター展開事業)食品機能性評価マニュアル集第Ⅲ集, 105-112.